大災害の“予言”が一つの噂にとどまらず、現実の社会に大きな波紋を広げています。漫画の一場面から始まった話が、多くの人の心に不安や期待、そして行動の変化をもたらしているようです。SNSでは真偽を問う声や不安を訴える投稿が相次ぎ、現実の経済活動にも影響が及び始めています。専門家はどう見ているのか、そして私たちはどんな視点でこの話題と向き合うべきなのでしょうか?
- “日本沈没”予言が社会に広がった背景
- SNS発の噂と現実社会への影響
- 専門家が語る地震予知の限界
- 不安に流されないための情報整理術
- 日常でできる地震・災害への備え
漫画家の“予言”が現実社会に与えた影響

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漫画家による“予言”が、こんなふうに現実にまで広がるのはなかなか珍しい気がします。たつき諒さんが夢で見た「2025年7月5日」の大災害予言はすっかり話題になって、本の売れ行きだけでなく社会の動きにも影響が出てきました。香港の航空会社が日本便の減便を発表した、というニュースも、なんだか噂が本当に現実にまで届いてしまったようで驚かされます。
こんな現象の背景には、やっぱりSNSやネットの力が大きいのかなと思います。今の時代、ちょっとした噂でもあっという間に広がって、フィクションと現実の境目もぼやけがちです。たつきさんの本も、累計で100万部を超えたといいますし、それだけ多くの人が気にしたり不安になったりしたのかもしれません。
日本では昔から地震や災害への備えを意識している人が多いので、こういう話題に敏感になりやすいのかもしれません。過去の大きな災害を経験したり、防災の大切さを感じてきた人も多いですよね。一方で、自治体や専門家たちは「科学的な根拠はない」と冷静に発信し続けていて、不安が広がりすぎないようにしている様子もうかがえます。
結果として、今回の“予言”は社会的な現象として無視できない存在となりつつあります。今後も、話題性のある出来事がどのように現実の行動や経済活動に影響を及ぼすのか、注意深く見守る必要がありそうです。
- 漫画発の“予言”がSNSやネットで急速に拡散
- 香港の航空会社が日本便を減便するなど、現実の経済活動にも波及
- 多くの人が不安や関心を持ち、書籍もベストセラーに
- 自治体や専門家は「科学的根拠なし」と冷静な対応を呼びかけ
たつき諒さんの夢と“予言”の内容
たつき諒さんの名前が広まったきっかけは、“予知夢”を元にした漫画の内容です。1999年刊行の『私が見た未来』には「2011年3月の大災害」が出てきて、東日本大震災のあと、その描写が一気に注目を浴びました。
2021年に出た『私が見た未来 完全版』には、さらに新しい夢の話が載っています。たつきさんは「日本とフィリピンの間の海底が破裂して、東日本大震災の3倍くらいの津波が来る場面を夢で見た」と語っていて、その“災害”が2025年7月5日に起きるかもしれないと本に書きました。
この“予言”の根拠は、あくまで夢で見たという話なんですよね。たつきさん本人も「夢を見た日=何かが起きる日ってわけじゃない」と新刊でちゃんと補足しています。でも、具体的な日付や津波の大きさまで書かれてしまうと、やっぱり余計に気になってしまう人も多いんじゃないでしょうか。
また、たつきさんの体験談にはフィクションの要素もあり、本人もオカルト的な解釈を交えています。そのため、予言の真偽をめぐる議論も続いていますが、多くの読者は夢と現実のあいだで揺れ動きながら次の展開を注視しています。
- 1999年の漫画で「2011年3月の大災害」を描写
- 2021年の完全版で「日本とフィリピンの中間で海底が破裂する夢」を公表
- その夢の中では「東日本大震災の3倍の津波」が日本を襲うと語る
- 2025年7月5日という具体的な日付が示された
- 本人も「夢の日付=現実の発生日とは限らない」と補足
航空便減便やSNS拡散による広がり
航空便の減便やSNSでの拡散は、今回の“予言”が社会に与えた現実的な影響の一つです。特に注目されたのは、香港のLCC(格安航空会社)が日本への定期便を一部減便すると発表した出来事でした。同社によれば、予約の減少について調査を進めた結果、香港でこの予言が急速に広まったことが一因だったとされています。実際、SNS上では「7月5日は危ない」「旅行を控えるべきか」といった投稿が相次ぎ、不安が拡大していきました。
このように、噂や予言がネット上で一気に広まることで、現地の人々の行動にも具体的な変化が起こります。情報が広がるスピードはこれまでになく速く、フィクションだった話題が現実の消費行動や経済活動にまで影響することも珍しくありません。さらに、他の空港でも減便が検討されるなど、地域による反応も見られました。
こうした現象の裏側には、SNSの拡散力の大きさと、災害リスクに敏感になっている今の空気があるのでしょう。根拠がなくても、信じる人がいれば社会現象になることもある――今回はまさにその一例かもしれません。これからもネット発の噂や予言が現実の行動に影響する場面は、まだ出てくるのかもしれません。
科学的視点から見る“予言”の根拠と現実性

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“日本沈没”の予言については、科学的には根拠や現実性にかなり疑問が持たれています。結論を先に言えば、「2025年7月5日に大地震と津波が起こる」という話は地震学や地質学の立場から見ても裏付けはありません。たつきさん自身「夢」で予言したと語っていて、科学的なデータや過去の前例はないのが実情です。
地震予知の専門家によれば、たつきさんが指摘する「日本とフィリピンの中間の海底が破裂する」という現象自体、地質学的に説明がつかないとのことです。この海域には火山活動やプレート境界がなく、過去に大規模地震が記録された例もありません。仮に巨大津波が起こるとしても、現在の地球物理学の知見では、その地域で東日本大震災を超える規模の津波発生は考えにくいと断言されています。
また、津波の高さは海底の大規模な変動によって決まりますが、地震以外の要因――例えば隕石落下など――を除けば、現実的にこの規模の災害が発生する可能性はごくわずかです。地震や火山噴火の正確な日時を事前に予言するのは、現在の科学では不可能とされています。NASAなどが地球近傍天体を監視しているものの、隕石なども完全には予測できません。
とはいえ、日本は地震や津波リスクと隣り合わせの国であり、科学的な根拠がなくても不安が広がるのは自然な流れかもしれません。しかし、今回の予言に関しては、冷静な科学的視点を持つことが大切です。一次情報や専門家のコメントに耳を傾けながら、根拠のない噂に過度に振り回されないよう注意したいところです。
地震専門家が否定する理由
地震予知の専門家がたつき諒さんの“予言”に否定的な姿勢を示す理由は明確です。まず、地震が発生するメカニズムには科学的な法則があり、日本とフィリピンの間の海底では過去に大地震や火山活動が確認されていません。地震は主にプレートの境界付近で発生しますが、たつきさんが指摘した海域にはプレートの境界自体が存在しないため、地質学的に大規模な地震が起きる条件がそろっていないとされています。
さらに、「突然海底が破裂する」といった表現も、現実には考えられません。地震は断層やプレートのずれが原因で発生するため、夢や予感で日時や場所を特定するのは科学的に不可能です。東海大学や静岡県立大学の地震専門家も「科学的根拠は一切ない」と明言しており、フィクションの域を出ないとの見解です。
さらに、津波に関しても「東日本大震災の3倍の津波」という主張には現実的な根拠がありません。津波の規模は海底の大きな変動によって決まりますが、南海トラフ巨大地震ですら東日本大震災を超える津波は想定しにくいのが現状です。仮に何か異常な現象が起きたとしても、科学の世界では再現性や根拠が求められます。
こうした科学的な知見に基づいて、専門家は冷静に「予言」を否定しています。予知や噂に惑わされず、一次情報や公式な発表に目を向けることが大切だと言えるでしょう。
- 海底破裂という現象は科学的に認められていない
- 地震発生にはプレート境界や断層が必要
- 夢や予感で日時や場所を特定するのは不可能
- 津波の規模も現実的ではないとされる
「大災害の日付指定」は本当に可能か
地震や津波といった大災害が「いつ起きるか」を、事前に正確な日付まで特定することは、現在の科学では不可能です。国内外の地震学者や火山学者の共通認識として、地震や火山噴火の発生日時をピンポイントで予言する方法は存在していません。観測網や科学技術が進歩した現代でも、せいぜい直前にわずかな異常を捉えることができる程度で、数ヶ月先や数年先の“その日”を断言できるものではないのです。
たとえば、日本政府の地震調査研究推進本部や各大学の地震学者も、過去のデータやプレートの動きから「今後30年以内に大地震が起きる確率」を示すことはありますが、具体的な年月日まで明らかにした例はありません。これは、自然現象には多くの変数や偶然が絡んでおり、予知の限界があるためです。また、巨大隕石の落下など突発的な自然災害であっても、正確な日時の予測は難しいとされています。
日付までぴったり指定される予言って、どうしても不安を煽りますよね。実はこういう話題、これまでも何度か繰り返されてきたようです。でも、多くは結局、根拠のない話やあとからのこじつけで終わることがほとんど。科学的な裏付けがない「〇月〇日に大災害が起きる」といった話には、やっぱり慎重になった方がよさそうです。
今後注目すべきポイントと地震への備え

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今後注目すべき点としては、社会に広がる予言や噂がどこまで現実の行動に影響するか、そして冷静に情報を見極める力がどれほど大切かという点です。今回のような予言が大きな話題となり、航空便の減便や不安の拡大につながったのは、SNSやネットを通じた情報拡散の影響力が強まっている証拠だといえます。今後も同様の現象が繰り返される可能性は十分にあるでしょう。
ただ、地震や津波みたいな災害は、今の科学でも正確に予知できないのが現実です。だからこそ、日ごろから備えをしておくことが大事になってきます。防災グッズを用意したり、家族と避難先を話し合ったり、普段から公式な情報をチェックするクセがあると安心です。行政や専門家の情報を信頼し、噂に振り回されすぎないよう気をつけたいですね。
これからもネットで出てくる予言や噂に、むやみに流されないようにしたいですね。しっかりした情報と防災の心構えを持っていれば、不安や憶測にも振り回されずに済むはず。結局のところ、コツコツと備えを続けることが、安心につながるんじゃないかなと思います。